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Gemini 3.8 Flash ~コーディングとサイバー防御を強化する新モデル~

thumbnail_gemini_1920 Google

要旨

Google は 2026年9月2日、新しい AI モデル「Gemini 3.8 Flash」と「Gemini 3.8 Flash Cyber」を発表しました。3週間前に登場した Gemini 3.7 Flash に続き、この6週間で3回目となる Flash モデルの投入です。3.8 Flash はコーディングや推論性能を大きく高めた汎用モデルで、3.8 Flash Cyber はサイバーセキュリティに特化した専門モデルとして用意されました。価格は 3.7 Flash と同水準に据え置かれており、性能とコストのバランスを重視した設計になっています。

Gemini 3.8 Flash とは ― コーディングと推論に強い汎用モデル

Gemini 3.8 Flash は、Google が「これまでで最も優れた推論・コーディングモデル」と位置づける汎用モデルです。ソフトウェア開発やエージェント型タスク、専門分野での多段階の推論において、前バージョンの 3.7 Flash から大幅な性能向上が確認されています。価格は 100万トークンあたり入力 0.75 ドル、出力 3.75 ドルで、3.7 Flash の導入時と同じ水準に据え置かれました。ただし、この価格は 2026年12月31日までの導入価格で、2027年1月1日以降は入力 1.50 ドル、出力 7.50 ドルに変更される予定です。 長期にわたるソフトウェア工学タスクを扱う「DeepSWE v1.1」というベンチマークでは、3.8 Flash は多くの大型モデルを上回る成績を収めています。また、金融分野の「Vals Finance Agent V2」や法律分野の「Harvey’s Legal Agent Benchmark」といった専門的なベンチマークでも、3.7 Flash や他の大型モデルを上回る結果を示しました。総合的な知識と推論力を測る「HLE-Verified」では 54.9% を記録しており、理系から人文系まで幅広い分野で高い水準の回答ができることが確認されています。 こうした性能向上の背景には、複雑な課題に対して 3.8 Flash がより多くの推論ステップを実行し、ツールを繰り返し呼び出しながら粘り強く取り組むという設計上の工夫があります。処理に使うトークン数が増える場面もありますが、計算コストを抑えたい場合は推論の強度を下げたり、引き続き 3.7 Flash を利用したりすることも可能です。

Gemini 3.8 Flash Cyber ― 脆弱性発見と自動修正に特化

もう一つの新モデル「Gemini 3.8 Flash Cyber」は、サイバーセキュリティ分野に特化して開発されたモデルです。信頼できる防御担当者向けに新設された「Fairwind Program」を通じて提供され、Flash モデルならではの高速性と低コストを備えつつ、脆弱性の発見や自動パッチ作成において最先端の性能を発揮します。 業界標準のベンチマーク「CyberGym」では、自律的な脆弱性発見において前モデルの 3.5 Flash Cyber や、より大規模な最先端モデルを上回る成績を記録しました。さらに、C や C++ 以外の幅広いプログラミング言語にも対応できるかを検証する Google 独自のベンチマークでは、20 種類のプログラミング言語にまたがる複雑なコードから脆弱性を発見し、成功率は 70% を超えました。 自動パッチ生成の分野でも高い実力を発揮しています。Collinear が運営する外部ベンチマーク「CWE-Bench」では、最先端モデルの成功率 47.8% に対し 3.8 Flash Cyber は 47.2% を記録し、ほぼ同等の性能をより低コストで実現しています。

Google 社内でも活用が進む実践的な成果

Gemini 3.8 Flash Cyber は、すでに Google 社内のコード保護にも活用されています。Chrome Security チームでは、他の大型商用モデルと比べて 2.6 倍多くの正しい修正パッチを作成できたと報告されています。セキュリティ企業 Wiz による社内ペネトレーションテストのベンチマークでは、他の最先端モデルに比べて再現率が 7.5〜9.7 ポイント向上し、コストは 2.3〜5.2 分の 1 に抑えられました。Google Cloud の脆弱性調査チームでは、通常なら数か月かかる重大な基盤的脆弱性の発見を、2 時間以内で完了できたという事例も紹介されています。

安全性への配慮とプロンプトインジェクション対策

3.8 Flash は、化学・生物・放射性物質・核(CBRN)やサイバー攻撃といった悪用のおそれがある領域に対して、安全対策を組み込んだうえで有用な用途を実現できるよう設計されています。一方の 3.8 Flash Cyber は、防御目的でより高度なサイバー機能を必要とする専門家のために、対策の範囲を調整したうえで信頼できる利用者にのみ提供されます。 また、Gemini 3.8 の両モデルは、悪意ある指示を紛れ込ませて AI を誤動作させる「プロンプトインジェクション」への耐性でも大きな進歩を遂げており、Gray Swan による評価でも高い防御性能が確認されています。

提供開始時期と利用方法

開発者は Google Antigravity や Google AI Studio、Android Studio、Stitch などを通じて 3.8 Flash を利用できます。企業向けには Gemini Enterprise から提供され、一般の利用者は Google AI Pro および Ultra のサブスクリプションを通じて Gemini アプリや Google 検索の AI Mode、Google スプレッドシートなどで利用できます。3.8 Flash Cyber については、Fairwind Program を通じて、政府機関や重要インフラの運用者、ソフトウェア保守担当者など、信頼できる防御担当者に優先的に提供される予定です。

おわりに

今回発表された Gemini 3.8 Flash と 3.8 Flash Cyber は、パソコン作業や仕事を支える AI が、着実に賢く、そして安全になっていることを示す発表だと言えます。特に 3.8 Flash は価格を据え置いたまま処理能力を高めているため、Gemini アプリや Google 検索などを普段お使いの方も、知らないうちに応答の質が向上する形で恩恵を受けられそうです。難しい専門知識がなくても、こうした AI の進化は日常のパソコン利用を少しずつ便利にしてくれるものですので、気負わずに新しい機能を試していただければと思います。

※ ここに掲載されている情報は、発表日現在の情報です。最新の情報と異なる場合がございますので、あらかじめご了承ください。

出典: Google

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