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GPT-Live-1 とは ~会話を遮らない新しい音声 AI~

thumbnail_chatgpt_1920 OpenAI

要旨

OpenAI は、ChatGPT の音声機能を支えている技術を、外部の開発者にも使えるように公開しました。新しい API の名前は「GPT-Live-1」です。電話で会話するときのように、聞くことと話すことを同時に行える「フルデュプレックス」という方式を採用しており、これまでの音声 AI にありがちだった不自然な間や、話の途中で遮られてしまう問題を大きく減らしています。料金は音声部分だけで 1分あたり 0.05 ドルとなっており、多くの企業がすでに導入を始めています。

GPT-Live-1 とは何か

GPT-Live-1 は、ChatGPT の音声会話機能「ChatGPT Voice」を動かしている仕組みそのものを、開発者向け API として切り出したものです。週に 1億 5000万人が利用しているとされる ChatGPT Voice と同じ技術基盤を、企業やアプリ開発者が自分たちのサービスに組み込めるようになりました。料金は音声のやり取り部分のみで 1分あたり 0.05 ドルです。会話の内容を考える「頭脳」にあたる AI モデルの利用料は、これとは別に発生します。 最大の特徴は「フルデュプレックス」という仕組みです。フルデュプレックスとは、電話回線で古くから使われてきた考え方で、話す側と聞く側が同時にやり取りできる状態を指します。GPT-Live-1 は、人の声を聞きながら、話すタイミングや相づちを打つタイミングを 1秒間に何度も判断しています。そのため、無音を検知してから返事を組み立てる従来方式よりも、会話のテンポが自然になっています。

何が変わったのか:これまでの音声 AI との違い

これまで多くの音声 AI サービスは、次の 3つの仕組みを順番につないで動いていました。まず声を文字に変換し、次に文章として AI に考えさせ、最後にできた返事を音声に変換するという流れです。この方式は「カスケード型」と呼ばれています。 カスケード型には弱点があります。工程が 3つに分かれているため、そのたびに時間がかかり、返事までに 0.8秒 から 2秒 ほどの遅れが生じることが報告されています。さらに、無音を区切りとして次の工程に進む仕組みのため、考え事をしている途中の間や周囲の雑音を、話し終わったサインと勘違いして、会話を遮ってしまうことも少なくありませんでした。 GPT-Live-1 は、この 3つの工程を 1つの AI モデルにまとめました。音声のやり取りを開始するまでの手続きも、6回 の通信から 1回 にまで減らされています。込み入った調べ物や複雑な処理が必要な場合は、会話をしている AI とは別の AI に作業を任せ、答えがまとまり次第、会話の中に自然に差し込む仕組みも用意されています。

実際に導入した企業の声

語学学習アプリを提供する Speak 社では、学習者が考えている途中で AI に話を遮られてしまう不具合が、導入前に比べて 80 パーセント減ったと報告しています。飲食店の予約受付を AI で行っている Yelp では、利用者がより自然な長い文章で話しかけてくれるようになったという変化が見られました。 社名を明らかにしていないある医療関連企業では、音声のやり取りを組み立てるためだけに用意していたプログラムのコードを、2万 3000行 も削減できたとされています。浮いた時間を、患者向けのサービス改善に充てられるようになったとのことです。

ベンチマークでの評価

OpenAI は、間の取り方や割り込みへの対応力を測る独自のテスト「Full Duplex Bench」で、GPT-Live-1 が従来モデルより 30 ポイント高い結果を出したと発表しています。また、航空会社や小売店、銀行の窓口業務を模したテスト「Tau3」では、GPT-Live-1 と後段の推論モデルを組み合わせた場合の正答率が 86.2 パーセントとなり、従来モデルの 45.7 パーセントを大きく上回りました。 ただし、こうした数値は OpenAI 自身が公表したものであり、第三者による検証結果ではありません。実際の電話対応では、雑音や訛り、会話の長さなど、テストでは再現しきれない条件も多いため、現場での評価は今後の導入事例を通じて明らかになっていくとみられます。

料金と他社サービスとの比較

GPT-Live-1 の音声部分の料金は 1分あたり 0.05 ドルで、同じくカスケード型を採用する Vapi と同水準です。音声のクローン技術で知られる ElevenLabs は 1分あたり 0.08 ドル、コールセンター向けの Retell AI は 0.07 ドル から 0.31 ドル となっています。感情表現の豊かさを売りにする Hume AI は 0.05 ドル から 0.07 ドル です。 一方、Google の Gemini Live API も GPT-Live-1 と同じフルデュプレックス方式を採用しており、無料の開発者向け枠が用意されています。画面共有や映像を含めたやり取りにも対応している点は、現時点の GPT-Live-1 にはない特徴です。NVIDIA も、自社でサーバーを用意する企業向けに、無料で公開されているモデル「VoiceChat-11B」を提供しています。

12種類の音声と電話対応、AI 音声の透かし技術

今回の公開に合わせて、選べる音声の種類も 12種類 に増えました。訛りや言語の違いに対応した幅広いラインナップとなっています。企業ごとに専用の音声を用意してもらうことも可能ですが、その場合は OpenAI の営業窓口への相談が必要です。 電話回線を使った音声対応にも標準で対応しており、飲食店の予約受付やお客様相談窓口といった用途に、追加の仕組みを用意することなく利用できます。また、2026年 7月 には、AI が話した音声であることを示す「電子透かし」の技術も組み込まれました。この透かしは耳では聞き取れませんが、専用の確認ツールを使うことで、その音声が AI によって作られたものかどうかを判別できる仕組みになっています。

おわりに

今回の GPT-Live-1 の公開は、これまでスマートフォンや専用アプリの中だけで体験できた自然な音声会話の技術が、様々なサービスの裏側で広く使われるようになる第一歩といえます。今後は、お店の電話予約や、コールセンターへの問い合わせ、健康相談の窓口など、身近な場面で AI と話す機会が少しずつ増えていくと考えられます。話している途中で急に遮られたり、何度も聞き返されたりする煩わしさが減れば、パソコンや AI に慣れていない方にとっても、電話で人と話す感覚に近い形で AI サービスを利用しやすくなっていくはずです。

※ ここに掲載されている情報は、発表日現在の情報です。最新の情報と異なる場合がございますので、あらかじめご了承ください。

出典: Tech Times

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