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Amazon Kindle「Ask this Book」機能の全貌と著作権問題

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要旨

Amazon は Kindle に新しい AI 機能「Ask this Book」を導入しました。この機能は、読書中に登場人物や物語の詳細を忘れた際、本を閉じることなく質問に答えてくれる便利なアシスタントです。iOS アプリで利用可能となり、来年には Kindle デバイスや Android アプリにも展開される予定です。しかし、著者や出版社がこの機能をオプトアウトできない点が大きな論点となっています。

AI が読書を手助けする新機能

Amazon が 9月のハードウェアイベントで発表した「Ask this Book」機能が、ついに米国の Kindle iOS アプリでリリースされました。この機能を使えば、何章か読み進めた後で登場人物の名前を忘れてしまった場合でも、電子書籍リーダーを手放すことなく AI アシスタントに質問できます。

現在、数千もの英語版 Kindle ベストセラータイトルで利用可能となっており、「現在読んでいるところまでの情報のみを表示する」ため、ネタバレの心配がありません。使い方は簡単で、購入または借りた本の文章をハイライトし、あらすじや登場人物、その他の重要な詳細について質問すると、AI アシスタントが即座に文脈に沿った情報を提供してくれます。さらに詳しい情報を得るために、追加の質問をすることも可能です。

オプトアウト不可という大きな問題

この機能は一部の読者にとって便利かもしれませんが、著者や出版社にとっては重大な懸念事項となっています。出版業界向けの日刊ニュースレター「Publishers Lunch」に対し、Amazon の広報担当者は「一貫した読書体験を確保するため、この機能は常に有効であり、著者や出版社がタイトルをオプトアウトするオプションはない」と明言しました。

Amazon は、この機能が AI を含む技術を使用して、読者の質問に対して即座にネタバレのない回答を提供すると説明しています。また、提供される回答は本の事実情報に基づいた短い答えであり、購入または借りた読者のみがアクセスでき、共有やコピーはできないとしています。しかし、この機能がどのような権利に基づいて実行されているのか、技術的な詳細や保護措置(幻覚を防ぐための対策や、AI トレーニングからテキストを保護する方法など)については、回答を避けています。

著作権侵害への懸念

他の AI 企業はすでに著作権侵害を主張する訴訟に直面しています。最近では、ニューヨーク・タイムズとシカゴ・トリビューンが Perplexity を提訴し、同社が大規模言語モデル(LLM)の訓練に自社の著作物を使用していると非難しました。

出版業界の専門家たちは、多くの権利保有者やクリエイターが、自分たちの明確なレビューと承認なしに書籍内チャットボットを望まないだろうと指摘しています。また、生成 AI が特定の著作物を分析して出力する内容は、二次的著作物の典型的な例、あるいは単純な直接的な侵害と見なされる可能性があると考える人も多くいます。

今後の展開と関連機能

Amazon は、「Ask this Book」機能を iOS アプリ以外にも展開を計画しており、来年には Kindle デバイスと Android OS アプリにも導入される予定です。この新機能に加え、Amazon は Kindle デバイスと iOS アプリにシリーズ書籍向けの「Recaps」機能も導入しました。これは、テレビ番組のシーズン合間の「これまでの番組」のまとめのような機能です。

ただし、Amazon は最近、AI 生成のビデオ Recaps 機能を廃止せざるを得なくなったという経緯があります。人気ドラマ「Fallout」の要約が「間違いだらけのゴミ」と評価されたことで、同社はこの機能を一時停止しました。このため、Recaps から得られる情報も改めて確認しておく価値があるかもしれません。

おわりに

Amazon の「Ask this Book」機能は、読書体験を向上させる可能性を秘めていますが、同時に著作権や創作者の権利に関する重要な問題も提起しています。著者や出版社がこの機能をオプトアウトできないという事実は、今後の議論を呼ぶことは間違いありません。AI 技術が進化する中で、創作者の権利と読者の利便性のバランスをどのように取るかが、今後の大きな課題となりそうです。

※ ここに掲載されている情報は、発表日現在の情報です。最新の情報と異なる場合がございますので、あらかじめご了承ください。

出典: Engadget

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