新年明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い致します。
要旨
昨年末に大きなニュースがございました。Meta Platforms は 2025 年 12 月 30 日、シンガポールを拠点とする AI スタートアップ Manus の買収を発表しました。この取引は 20 億ドル以上と評価されています。Manus は 2025 年春のデビュー以来、求人応募の選考、旅行の計画、株式分析などを行える AI エージェントとして注目を集めてきました。今回の買収により、Meta は AI ビジネスにおける競争力をさらに強化することになります。
Manus とはどのような企業か
Manus は 2022 年に中国・北京で親会社 Butterfly Effect として設立され、2025 年半ばにシンガポールへ移転しました。この企業は従来の生成 AI チャットボットとは一線を画し、質問に答えるだけでなく実際に作業を実行できる「汎用 AI エージェント」を開発しています。
デビュー時、Manus は OpenAI の Deep Research を上回る性能を示したと主張しました。2025 年 4 月には、ベンチャーキャピタル Benchmark 主導で 7,500 万ドルの資金調達を実施し、評価額は 5 億ドルに達しました。同社は 12 月中旬の時点で数百万人のユーザーを獲得し、年間経常収益が 1 億ドルを超えていると発表しました。
Meta による戦略的な買収の背景
Meta CEO Mark Zuckerberg は AI を同社の最優先事項と位置づけており、研究者の採用、データセンターの構築、新モデルの開発に数十億ドルを投資しています。2025 年、Meta は AI 関連で少なくとも 700 億ドルの設備投資を行い、翌年にはさらに増額する見込みです。
今回の Manus 買収は、Meta にとって 2025 年で 5 番目の AI 関連買収となります。これまでに AI スタートアップの PlayAI と WaveForms、アクセラレーター開発企業 Rivos、ウェアラブルデバイス開発企業 Limitless を買収してきました。
Manus の年間収益率が 1 億 2,500 万ドルに達していることで、Meta は AI への投資に対してより即座のリターンを得られる可能性があります。
中国との関係と規制への対応
Manus は Tencent Holdings、ZhenFund、HSG などの中国の主要投資家から資金を受けていました。米国テキサス州の共和党上院議員 John Cornyn は、2025 年 5 月に Benchmark Capital による Manus への投資を批判し、米国の投資家が最大の競争相手である中国に AI で資金提供することに疑問を呈しました。
Meta はこの問題に対処するため、買収完了後は Manus に中国の所有権が残らないこと、また Manus AI が中国でのサービスと運営を停止することを明言しました。この措置により、米国の規制当局からの懸念を軽減する狙いがあります。
Manus の技術的な強みと実績
Manus は GAIA ベンチマークにおいて、当時 o3 モデルを使用していた OpenAI の Deep Research エージェントなどの最先端システムを 10% 以上上回る性能を示しました。GAIA ベンチマークは、AI エージェントが実世界の複数ステップのタスクをどの程度うまく完了できるかを評価する指標です。
Manus は 1,470 億トークン以上を処理し、8,000 万台以上の仮想コンピュータを作成してきたと発表しています。これらの数値は、限定的な実験ではなく、実運用レベルでの継続的な使用を示しています。
2025 年 10 月にリリースされた Manus 1.5 では、平均タスク完了時間が年初の約 15 分から 4 分未満へと、ほぼ 4 倍の高速化を実現しました。システムは難易度の高い問題により多くの推論時間と計算リソースを動的に割り当て、すべてのタスクを同じように扱うのではなく、効率的な処理を可能にしました。
おわりに
Meta による Manus の買収は、企業や個人にとって AI を活用した業務効率化がより身近になることを意味します。一般ユーザーにとっても、計画立案や情報収集といった日常的な作業がより簡単になり、時間を有効に使えるようになることが期待されます。
また買収完了後は Manus に中国の所有権が残らないこと、また Manus AI が中国でのサービスと運営を停止することを明言との事なので、今まで利用を避けていた方にも利用されるようになるのか、見守っていきたいと思います。
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