要旨
イスラエルの AI 企業 Lightricks が、音声付き動画を自動生成できるオープンソース AI モデル「LTX-2.3」を 2026 年 3 月 5 日に公開しました。前のバージョンから映像のきめ細かさ・動きのなめらかさ・音声の聞き取りやすさが大きく改善されており、複数の静止画をつなぎ合わせて自然な動画を作る機能も強化されています。さらに、技術的な知識がなくても使える無料の PC 専用アプリ「LTX Desktop」も同時に公開され、
LTX-2.3 とはどんな AI か
LTX-2.3 は、イスラエルの企業 Lightricks が開発・公開している動画生成 AI「LTX-2」シリーズの最新版です。テキストや静止画を入力するだけで、映像と音声がセットになった動画を自動的に作り出してくれるのが大きな特徴です。
このシリーズは「オープンソース」、つまり AI の設計図や内部データが無償で公開されており、誰でも自由に使ったり改良したりできます。インターネット上のサービスではなく、自分のパソコン上で動かせる「ローカル動作」も大きな強みで、同じく人気のある Alibaba 製の「Wan 2.2」と並んで注目を集めているモデルです。
ベースとなる LTX-2 は 2025 年 10 月に登場し、2026 年 1 月に正式なオープンソース公開がおこなわれました。最大 4K 解像度・毎秒最大 50 コマの映像に加え、音声を映像と同時に生成できる世界初のオープンモデルとして高い評価を得ています。
バージョン 2.3 での主な改善点
LTX-2.3 では、前のバージョンと比べていくつかの重要な点が向上しています。
まず映像の「きれいさ」が増しました。映像を圧縮・展開する内部処理システム(VAE と呼ばれる仕組み)が新しくなり、髪の毛や布の細かなテクスチャ、小さな文字なども潰れにくくなっています。縦長の 9:16 比率(スマートフォン向けの縦動画)の品質も向上しています。
次に「動きの安定性」が改善されました。静止画から動画を生成する際のブレやノイズが減り、カメラワークや被写体の動きが以前より自然に仕上がります。また動画の末尾をなめらかに終わらせる「ラストフレーム補間」という機能も追加されています。
音声面では、声の明瞭さと音の質感を高める新しい音声処理エンジンが採用されました。映像と音のタイミングのズレも改善されており、よりリアルな仕上がりになっています。
さらに、テキストの指示をより正確に理解する能力も上がっており、意図した通りの動画が生成されやすくなっています。
「画像から動画へ」の精度が大幅アップ
LTX-2.3 のもっとも重要な進化のひとつが、「画像から動画を生成する処理(I2V)」の強化です。
これは、1 枚または複数の静止画を入力として渡すと、それらをつなぐ自然な動きの動画を生成してくれる機能です。今回のバージョンでは、この処理をモデルの学習段階から組み込む形で開発されたため、複数の画像を入力してシーンをまたいだ動画を作るといった、より複雑な用途でも精度が高まっています。
また、動画の特定のコマ(キーフレーム)を指定してその間をつなぐ動画を作る「キーフレーム制御」や、一度生成した動画の一部だけを作り直す「リテイク」機能も、より自然な形で動作するようになっています。
無料アプリ「LTX Desktop」でより手軽に
今回あわせて公開された「LTX Desktop」は、Windows / Mac 向けの無料 PC アプリです。これまで LTX-2 シリーズを使うには、ある程度の技術的な知識が必要でした。しかし LTX Desktop を使えば、コマンド入力などの難しい操作なしに、わかりやすい画面から動画を生成できます。
また、映像制作や AI の活用に慣れたユーザー向けには、画像編集・自動化ツールとして広く使われている「ComfyUI」でも LTX-2.3 の実行がサポートされており、より高度なカスタマイズも可能です。
LTX-2.3 のモデルデータは Hugging Face 上で公開されており、Apache 2.0 ライセンスのもとで個人・学術・年間売上 1,000 万ドル未満の企業であれば無償で利用できます。
おわりに
LTX-2.3 の登場により、高品質な AI 動画生成がより身近になりつつあります。自分のパソコン上で動作するため、インターネット接続が不安定な環境でも使えますし、生成した映像や音声のデータが外部サービスに送信されることもありません。プライバシーを気にする方にも安心して使いやすい点は大きなメリットです。
無料の LTX Desktop アプリの登場により、動画クリエイターはもちろん、普段 AI を使い慣れていない方でも、テキストや写真から動画を作るという体験が現実のものとなってきました。旅行の写真から思い出ムービーを作ったり、手書きのイラストをアニメーション化したりといった使い方も、これからさらに広がっていきそうです。
※ ここに掲載されている情報は、発表日現在の情報です。最新の情報と異なる場合がございますので、あらかじめご了承ください。
出典: GIGAZINE

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