要旨
Windows 11のペイントアプリに、AIを活用した2つの実験的な新機能が追加されました。現在「Windows AI Labs」というテストプログラムを通じて限定的に提供されているこれらの機能について、詳しく見ていきましょう。
Windows AI Labsとは
Windows AI Labsは、マイクロソフトがペイントなどのアプリで実験的なAI機能をテストするためのオプトインプログラムです。興味深いのは、Windows Insiderプログラムに参加していなくても登録できる点です。
現在、このプログラムへの招待は段階的に配信されており、ペイントの設定画面に招待のポップアップが表示された方のみが利用できる状況です。招待を受け取るには、まずWindows 11の最新版にアップデートしておく必要があります。
新機能その1:アニメーション化(Animate)
「アニメーション化」機能は、静止画像やスケッチを短いアニメーションに変換できるAI機能です。使い方は非常にシンプルで、画像を選択してCopilotメニューから「Animate」を選び、生成ボタンをクリックするだけです。
特徴と注意点
この機能の特徴は、ユーザーがプロンプト(指示文)を入力する必要がなく、AIが自動的にアニメーションの方向性を決定する点です。これは手軽さを優先した設計ですが、逆に言えば最終結果をコントロールできないということでもあります。
生成には約40〜60秒かかり、完成したアニメーションはGIF形式でクリップボードにコピーしたり、ローカルストレージに保存できます。
ただし、テスト段階ということもあり、結果の品質にはばらつきがあるようです。Windows Latestのテストでは、ピカチュウが夜空を飛んでいる画像をアニメーション化したところ、最初は良かったものの後半になると違和感が増していったとのことです。
新機能その2:ジェネレーティブ編集(Generative Edit)
もう一つの新機能「ジェネレーティブ編集」は、Googleの「Nano Banana」に似たスタイルで、自然言語の指示を使って画像に複雑な編集を加えることができる機能です。
実用例
Windows Latestのテストでは、バナナの背景を「フルーツジャングル」に変える編集が実際に非常にうまく機能したと報告されています。このように、背景の置き換えやシーン全体の再構成といった大規模な編集には効果的なようです。
一方で、ロゴの削除など、より細かい対象を指定した編集については成功率が低いという報告もあります。従来のマスク塗りつぶしツールとは異なり、正確なマスクを描く必要はありませんが、その分AIの解釈に依存する部分が大きいようです。
技術的背景
マイクロソフトは、アニメーション機能には独自の社内モデルを使用しており、サードパーティの技術に依存していないとのことです。つまり、OpenAIのSoraやGoogleのImagenのような外部技術ではなく、マイクロソフト独自のAIモデルが動いているということです。
既存のAI機能との関係
ペイントには既に、Cocreator(AI画像生成)、Generative Fill(生成塗りつぶし)、Generative Erase(生成消去)など、複数のAI機能が搭載されています。
今回の2つの新機能は、これらに加えてペイントのAI機能をさらに拡張するものと位置づけられています。マイクロソフトは、シンプルな画像エディタだったペイントを、徐々にAI搭載の本格的なクリエイティブツールへと進化させているのが見て取れます。
今後の展開
マイクロソフトは、これらのツールはまだ実験段階であり、一般ユーザーに提供される保証はないと述べています。しかし、Windows AI Labsという専用のテストプログラムを設けていることから、本気で機能の実用化を目指していることは間違いありません。
AI Labsは当初はペイント専用ですが、最終的には他のWindows 11アプリにも拡大される予定とのことで、次はフォトアプリが対象になるのではないかと予想されています。
おわりに
Windows 11のペイントに追加される新しいAI機能は、まだテスト段階ではありますが、静止画をアニメーション化したり、自然言語で複雑な画像編集を行えたりと、非常に魅力的な可能性を秘めています。
品質や精度にはまだ改善の余地があるものの、無料のOSバンドルアプリでここまでのAI機能が使えるようになるのは驚きです。Windows AI Labsへの招待が届いた方は、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。
※この記事の情報は2025年10月時点のものです。機能の提供状況や仕様は変更される可能性があります。
出典: tech radar


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