要旨
Apple の端末に搭載された AI 機能「Apple Intelligence」を活用した、無料の翻訳アプリ「Pre-Babel Lens」が登場しました。このアプリの最大の特徴は、翻訳の処理がすべて手元の Mac 上で完結するという点です。インターネットに接続していない状況でも翻訳でき、入力した文章が外部のサーバーに送られることもありません。プライバシーを気にする方や、機密性の高い文書を扱う場面でも安心して利用できる翻訳ツールとして注目されています。
Pre-Babel Lens とはどんなアプリか
「Pre-Babel Lens」は、日本人小説家・藤井太洋氏が開発した Mac 向けの翻訳アプリです。Apple が提供する AI の基盤技術「Foundation Models」を利用しており、翻訳の処理はすべてデバイス上(ローカル)で動作します。
画面の構成は、翻訳したい文章を左側に入力し、翻訳結果が右側に表示されるシンプルな 2 ペイン構造です。開発者の藤井氏自身も「DeepL 風の 2 ペインで翻訳を行う」と述べており、広く知られた翻訳サービス「DeepL」の画面を意識したデザインになっています。
使い方と動作速度
アプリを使うには、Mac の「設定」から「Apple Intelligence と Siri」を開き、Apple Intelligence が有効になっていることを確認しておく必要があります。
翻訳したい文章を左の入力欄に貼り付け、翻訳先の言語(「Target」)を選んで「Translate」をクリックするだけで翻訳が完了します。また、アプリを起動した状態で翻訳したいテキストを選択し、Command キーを 2 回押すと自動的に入力欄に貼り付けられるショートカット機能も用意されています。
実際に M4 搭載の MacBook Air で試したところ、翻訳の処理速度はかなり速く、十分実用的なレベルとのことです。英語から日本語、また韓国語など複数の言語への翻訳にも対応しています。
知っておきたい制限事項
便利な反面、Foundation Models の仕様上、いくつかの制限があります。開発者の藤井氏が公表している内容をまとめると、以下のとおりです。
まず、一度に処理できる文章量の上限が「4096 トークン」(おおむね数千文字程度)に設定されています。短い文書の翻訳には十分ですが、長文を一度に処理しようとすると翻訳結果がおかしくなることがあります。
また、対応言語は Apple Intelligence がサポートする 15 言語に限られており、DeepL や ChatGPT などの制限のないサービスと比べると対応範囲は狭めです。そのほか、未成年者に関わる内容・個人名と日時が含まれる文書・特定の国や主張に関わる文書については、セーフガード(安全装置)が働いて翻訳が制限される場合があります。
利用できる環境と入手方法
Pre-Babel Lens は、Apple Intelligence に対応した Mac で利用できます。Apple Intelligence の動作には macOS のバージョンが一定以上である必要があるほか、対応する Apple シリコン搭載機(M シリーズチップ搭載の Mac など)が必要です。
アプリは無料で提供されており、藤井太洋氏の X(旧 Twitter)アカウントなどから配布情報を確認できます。インターネット接続なしで翻訳できる特性上、オフライン環境での作業や、社内文書など外部に情報を出したくない場面での利用が特に向いています。
おわりに
「Pre-Babel Lens」の登場によって、これまでクラウドサービスに頼っていた翻訳作業を、インターネット接続なしで自分の Mac だけで完結させられるようになりました。特に、業務上の機密書類や個人情報を含む文書の翻訳では、外部サービスへの情報漏えいリスクをゼロにできるメリットは大きいと言えます。無料で使えることもあり、Apple Intelligence 対応の Mac をお持ちの方はぜひ試してみる価値がありそうです。
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