要旨
Apple 独自チップを搭載した Mac に、NVIDIA や AMD の外付けグラフィックボードを接続できるドライバーが登場しました。開発したのは tiny corp という企業で、2026年4月1日に Apple の審査を通過し、正式に配布が始まっています。USB4 や Thunderbolt ポートを通じてグラフィックボードを外付けし、AI モデルの処理をそのボードに担わせることができます。実際に Mac mini に高性能なグラフィックボードを接続して AI モデルを動かすことにも成功しており、Mac ユーザーの AI 活用の幅が大きく広がる可能性があります。
Apple Silicon Mac と外付け GPU のこれまでの状況
Mac に搭載されている Apple Silicon(Apple 独自開発のチップ)は、省電力でありながら高い処理能力を持つことで知られています。しかしこれまで、外付けの GPU(グラフィックボード)を接続する機能は公式にはサポートされていませんでした。
かつて Intel チップを搭載していた時代の Mac では、macOS が外付け GPU(eGPU)に正式対応しており、ゲームや動画編集などに活用できました。ところが Apple Silicon への移行後は、この機能が使えなくなっていたという経緯があります。
tiny corp のドライバーとは
今回注目を集めているのは、tiny corp という企業が開発したドライバーです。ドライバーとは、パソコンが特定のハードウェアを認識して動かすための橋渡し役となるソフトウェアのことです。
このドライバーは USB4 または Thunderbolt ポートを通じて、NVIDIA または AMD のグラフィックボードを Mac に接続するためのものです。2026年4月1日、Apple の審査を経て正式に配布が開始されました。
対応する OS は macOS Monterey 12.1 以降で、NVIDIA のグラフィックボードは GeForce RTX 30 シリーズ以降(Ampere 世代)、AMD は Radeon RX 7000 シリーズ以降(RDNA 3 世代)が対象となっています。ドライバーの詳しい情報は tinygrad の公式ドキュメントページで公開されています。
実際に AI モデルの実行に成功
tiny corp はこのドライバーを使い、Mac mini に AMD の Radeon RX 7900 XTX を外付けして、AI の言語モデル「Qwen 3.5 27B」を動作させることに成功しています。処理速度は毎秒 18.5 トークンで、さらに最適化すれば 3 倍程度の速度向上も見込めると報告されています。
また、M4 チップを搭載した Mac mini に NVIDIA の GeForce RTX 5050 を USB4 経由で接続して動作させたという報告も、別のユーザーから寄せられています。速度は速くないものの、動作することが確認されており、対応環境の幅広さが伺えます。
AI モデルの実行には tiny corp が開発した機械学習フレームワーク「tinygrad」が使われており、このドライバーはその一部として機能しています。
対応している接続方式とグラフィックボード
このドライバーが対応している接続方式と GPU の一覧を整理すると、以下のとおりです。
接続方式は USB4 と Thunderbolt の 2 種類です。近年の Mac には Thunderbolt ポートが搭載されているモデルが多く、対応した外付けボックス(エンクロージャー)があれば接続できます。
対応 GPU は NVIDIA が GeForce RTX 30 シリーズ(2020年発売の RTX 3080 など)以降、AMD が Radeon RX 7000 シリーズ以降となっています。どちらも比較的新しい世代のグラフィックボードが対象です。
おわりに
これまで Apple Silicon Mac では使えなかった外付けグラフィックボードが、tiny corp のドライバーによってついに利用可能になりました。特に AI モデルを手元で動かしたい方にとっては、Mac の処理能力を大幅に補える選択肢が増えたことになります。
授業や自習で AI ツールを積極的に活用している生徒さんにとっても、手持ちの Mac をより高性能に使えるかもしれない、という意味で注目しておきたいニュースです。まだ専門的な設定が必要な部分もありますが、今後さらに使いやすくなることが期待されます。
※ ここに掲載されている情報は、発表日現在の情報です。最新の情報と異なる場合がございますので、あらかじめご了承ください。
出典: GIGAZINE


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